税理士に頼むと、いくらかかるのでしょうか。月々の顧問料はもちろん、決算や記帳代行、確定申告だけのスポット依頼まで、金額の幅が広くて比べにくいと感じている方は多いはずです。料金表を見ても「自分の場合いくらになるのか」がわかりにくく、安いところを選んでよいのかも判断しづらいもの。まずは、どこを見れば損をしないのかという視点を持つことが大切になります。

この記事では、税理士の費用・顧問料の相場を個人事業主と法人の売上規模別に整理し、料金表のどこを見ればよいか、確定申告のみ頼むときはいくらか、そして費用を賢く抑えるコツまでをまとめました。見積りの取り方や、安さだけで選んで損をしないための確認項目もあわせて紹介します。

税理士の費用で大事なのは「単価」でなく「総額と内訳」

税理士の費用を比べるときに本当に見るべきは、月々の顧問料という一点ではなく、記帳代行・決算申告・年末調整・相談対応まで含めた1年間の総額です。 顧問料が安く見えても、必要な作業が別料金で積み上がれば、結局のところ高くついてしまうからです。

多くの方は「税理士費用=毎月の顧問料」とイメージしがちですが、実際の請求はいくつかの費目に分かれています。何が顧問料に含まれ、何が追加になるのか。そこを整理しないまま金額だけを比べてしまうと、見積り同士を正しく比較できません。

税理士費用の主な構成は、次のとおりです。

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費目内容
月額顧問料税務相談・面談・申告書のチェックなど、継続的なサポートの基本料金
決算申告料法人の決算書・申告書の作成にかかる料金(年1回)
記帳代行料領収書や通帳をもとに帳簿を作成する作業の料金
確定申告料(個人)個人事業主の所得税の確定申告書を作成する料金
年末調整・法定調書従業員の年末調整や、給与支払報告書などの作成料金
スポット・オプション税務調査の立会い、資金繰り相談、各種届出など個別対応の料金

同じ「月3万円」でも、記帳を自分で行う前提の事務所と、記帳代行まで含む事務所では、提供される範囲がまったく違います。 金額だけを並べるのではなく、「その金額で何をどこまでやってくれるのか」をそろえて比べる。これが損をしない第一歩になります。

なお、税理士の業務は法律で範囲が定められています。税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つは税理士の独占業務で、これらを業として行えるのは税理士・税理士法人などに限られます。だからこそ、誰に頼んでも同じというわけではなく、料金と提供範囲を見極める意味があるのです。

参考:国税庁「2 税理士の業務(税理士制度のQ&A)」

参考:日本税理士会連合会「税理士とは」

税理士の料金が決まる5つの要素を知ると「自分の相場」が見える

税理士の料金には法律で決められた一律の定価はなく、依頼内容や事業の規模に応じて各事務所が個別に設定します。 だからこそ「相場いくら」を探すよりも、自分の費用が何で決まるのかを押さえるほうが、ずっと役に立ちます。

料金を左右する主な要素は、次の5つです。

  • 売上規模(年商)
  • 記帳を自分で行うか、丸投げするか
  • 面談・訪問の頻度
  • 業種や取引の複雑さ
  • オプション業務の有無

① 売上規模(年商)が上がると料金も上がる

売上が大きくなるほど取引量や仕訳の数が増え、確認・処理の手間も増えるため、顧問料は段階的に上がるのが一般的です。 多くの料金表が「年商◯◯万円まで」と区切られているのは、このためです。

良い例は、売上のレンジごとに料金が明示され、いくらを超えたら次の段階になるかがわかる事務所。一方で注意したいのは、入口の金額だけを示し、売上が伸びたときの改定ルールが曖昧な事務所です。問い合わせのときは「自社の年商だといくらになるか」「将来売上が増えたら料金はどう変わるか」を具体的に確認しておくと安心でしょう。

② 記帳を「自分で行うか/丸投げするか」で大きく変わる

費用差が最も出やすいのが、帳簿づけを自分でするか、税理士に丸投げするかという点です。 記帳代行を含めれば、その作業分の料金が上乗せされます。

自分で会計ソフトに入力する「自計化」ができていれば、記帳代行料を抑えられます。反対に、領収書をまとめて渡して帳簿づくりから任せる「丸投げ」は、手間がかからない一方で費用は高くなりがち。どちらが得かは、自分の作業にかけられる時間と、削減できる費用を並べて判断するとよいでしょう。

③ 面談・訪問の頻度

毎月の訪問面談があるか、年に数回か、オンライン中心か。これによって顧問料の水準は変わってきます。 訪問が多いほど人件費がかかるため、料金は上がる傾向にあります。

経営相談を密にしたいなら面談多めのプラン、コストを抑えたいならオンライン中心のプランが向いています。注意したいのは、面談回数が明記されておらず「相談はいつでもどうぞ」とだけ書かれているケース。実際の回数や、電話・チャットでの相談が無制限かどうかを確認しておきましょう。

④ 業種や取引の複雑さ

飲食・建設・不動産・輸出入など、消費税や原価計算が複雑になりやすい業種は、料金がやや高めに設定されることがあります。 取引の種類が多く、判断に専門知識が必要になるからです。

自社と同じ業種の関与実績があるかどうかは、料金の妥当性だけでなく、提案の質にも関わってきます。問い合わせの際に「同業の関与実績はあるか」を聞いておくと、価格と内容のバランスを見極めやすくなります。

⑤ オプション業務の有無

年末調整、各種届出、資金繰り相談、税務調査の立会いなどは、顧問料とは別のオプションになることが多い費目です。 どこまでが基本料金に含まれ、どこから追加になるかは、事務所ごとに異なります。

良い例は、基本に含まれる業務とオプションの料金が一覧で示されている事務所。注意したいのは、契約後に「それは別料金です」と次々に加算されるパターンです。見積りの段階で、想定される追加業務の単価まで聞いておけば、後からの想定外を防げます。

参考:国税庁「税理士制度のQ&A(目次)」

税理士費用の相場の目安|個人事業主・法人を売上規模別に整理

ここで紹介する金額は、いずれも公的に定められた相場ではなく、一般的な目安です。 税理士報酬には法令上の定価がなく、実際の費用は事務所と依頼内容によって変わります。あくまで自社の条件で見積りを取る前の、比較材料として参照してください。

下の表は、依頼形態ごとに一般に言われる費用感を整理したものです。金額はすべて目安で、税抜・税込の別や含まれる作業範囲によっても変動します。

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依頼形態対象費用の目安(一般的なイメージ)
月額顧問(個人事業主)フリーランス・個人事業主月1万〜3万円程度
月額顧問(法人)中小法人月3万〜5万円程度〜(売上規模で上昇)
決算申告料(法人)法人月額顧問料の4〜6か月分が目安
確定申告のみ(個人・スポット)個人事業主5万〜15万円程度(記帳の有無で変動)
記帳代行個人・法人仕訳量に応じた加算(月数千円〜数万円)

法人の場合、売上規模が上がると顧問料も段階的に上がっていくのが一般的です。目安として、年商1,000万円前後の小規模法人と、年商1億円規模の法人とでは、月額顧問料に明確な差が出ます。 自社の年商がどのレンジに当たるかで、おおよその水準を見積もっておくとよいでしょう。

費用を考えるうえで知っておきたいのが、源泉徴収の扱いです。個人の税理士に報酬を支払う場合、所得税および復興特別所得税の源泉徴収が必要で、税率は支払金額100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%です。 たとえば150万円なら「(150万円−100万円)×20.42%+102,100円=204,200円」を源泉徴収します。見積書の金額が「報酬総額」なのか「源泉徴収後の手取り」なのかで実額の感覚が変わるため、ここは確認しておくと混乱を避けられます(なお、税理士法人への支払いには原則として源泉徴収は不要です)。

ちなみに、費用をかけずに自分で申告する選択肢もあります。国税庁のe-Taxやスマホ申告、確定申告書等作成コーナーを使えば、個人でも申告は可能です。取引がシンプルなうちは自分で、規模が大きくなったら税理士へ。そんな切り替えも一つの考え方と言えます。

参考:国税庁「No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金(タックスアンサー)」

参考:国税庁「令和7年分 確定申告特集」

顧問契約・スポット・格安オンラインの違いと向き不向き

税理士への依頼は「毎月の顧問契約」だけではありません。必要なときだけ頼むスポット契約や、低価格のオンライン特化型もあります。 どれが向くかは、相談の頻度と任せたい範囲で決まります。

それぞれの特徴を、範囲・費用・向くケースで整理すると次のようになります。

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依頼形態任せられる範囲費用の特徴向いているケース
顧問契約記帳チェック・申告・相談・経営アドバイスまで継続的に月額顧問料+決算/申告料が基本取引が継続し、相談相手を常に持ちたい事業者
スポット契約確定申告だけ、決算だけなど単発の作業1件ごとの料金(顧問料なし)取引がシンプルで、年1回の申告だけ任せたい人
格安オンライン申告・記帳を低価格でオンライン完結定額・低価格が中心費用を最優先し、面談より価格を重視する人

顧問契約は「相談相手がいる安心」を、スポット契約は「必要なときだけの低コスト」を、格安オンラインは「価格の安さ」を取る選択です。 創業直後で取引が少ないうちはスポットや格安で十分でも、売上が伸びて節税や資金繰りの相談が増えてくると、顧問契約のほうが結果的に得になることもあります。

注意したいのは、格安オンラインの「料金の安さ」だけを見て、面談や個別相談がほとんど含まれていないことに後から気づくケース。基本料金に何が含まれるか、相談はどの手段で何回までできるかを、契約前に確かめておきましょう。

税理士費用を賢く抑えるコツは「自計化」と「依頼範囲の見極め」

費用を下げる近道は、値切ることではありません。税理士に渡す前の準備を整えて、作業量そのものを減らすことです。 記帳代行のような手間のかかる作業を自分側で軽くできれば、その分の料金を圧縮できます。

抑えるための主なポイントは、次のとおりです。

  • クラウド会計を使って記帳を自分で行う(自計化)
  • 領収書・通帳・請求書を整理して渡す
  • 本当に必要な業務だけを依頼範囲にする
  • 複数の事務所から相見積もりを取る

クラウド会計で記帳工数を減らす

freee・マネーフォワード・弥生などのクラウド会計を使うと、銀行口座やカードの明細が自動で取り込まれ、記帳の手間が大きく減ります。 その結果、記帳代行料を抑えられ、総額を下げやすくなるのです。

良い例は、自社が使いたいクラウド会計に税理士が対応していて、入力は自社・チェックは税理士という役割分担ができるケース。一方で注意したいのは、税理士側が紙やExcelでのやり取りしか受け付けず、結局すべて記帳代行になってしまうケースです。問い合わせの際に「freee/マネーフォワード/弥生のどれに対応しているか」「自計化した場合に顧問料はどう変わるか」を確認すれば、削減の余地が見えてきます。

依頼範囲を絞り、資料を整えて渡す

すべてを丸投げするのではなく、自分でできる部分を切り分けて依頼範囲を絞れば、費用を抑えられます。 領収書を月ごとにまとめる、通帳のデータを整理しておく。そうした準備だけでも、税理士側の作業時間は変わってきます。

良い例は、「記帳は自社・申告とチェックは税理士」のように分担が明確な契約です。注意したいのは、安さを優先して相談や面談まで削った結果、必要なときに相談できず、節税の機会を逃してしまうケース。費用を抑えることと、必要なサポートを残すことのバランスを意識しましょう。問い合わせのときは「この範囲なら見積りはいくらか」と、範囲を変えた複数パターンで聞いてみると比較しやすくなります。

参考:国税庁「令和7年分 確定申告特集」

安さだけで選ぶと割高になる|よくある失敗と防ぎ方

税理士費用でありがちな失敗は、月額の安さだけで決めて、後からオプションが積み上がり、結局割高になってしまうことです。 入口の価格と、1年間に実際に払う総額は別物。この視点が欠かせません。

代表的な失敗と、その原因・防ぎ方を整理しました。

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よくある失敗起きる原因防ぎ方
格安で契約したのに総額が高くついた顧問料が安い分、記帳・決算・年末調整が別料金で加算1年分の総額(顧問+決算+記帳+年末調整)で見積りを比べる
相談したいのに対応が遅い・つながらない価格優先で相談回数や連絡手段が限られていた相談手段・レスポンスの目安・面談回数を契約前に確認する
売上が伸びたら大幅に値上げされた料金改定のルールが曖昧だった年商が上がったときの料金改定ルールを最初に確認する
クラウド会計に対応しておらず手作業が増えた対応ソフトを確認していなかった使いたい会計ソフトへの対応可否を事前に確認する
税務調査の立会いで高額な追加費用が出た立会い費用が見積りに入っていなかった調査立会いの有無と費用を契約時に確認しておく

どれも「月額がいちばん安いから」で選んだときに起こりがちな失敗です。 価格は総額で比べ、含まれる範囲とレスポンスの質まで確認すれば、こうした失敗の多くは契約前に防げます。

税務調査の立会いは、費用差が出やすい項目の一つ。顧問契約があれば日常からやり取りしている税理士が立ち会えますが、顧問なしで急に依頼すると、スポットの立会い費用が別途かかります。万一に備えて、立会い対応の有無と費用感を確認しておくと安心でしょう。

【チェックリスト】税理士の見積りで必ず確認したい項目

ここまでのポイントは、見積りを取るときの確認項目にそのまま使えます。金額の大小だけでなく、「その金額に何が含まれるか」をそろえて見ること。これが、後悔しない選び方の核心です。

まず、見るべき領域を整理すると次のようになります。

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領域見るポイント
料金の総額顧問・決算・記帳・年末調整を合算した1年分の費用
含まれる範囲基本料金の業務と、オプション扱いになる業務の線引き
対応・連絡面談回数、相談手段、レスポンスの速さ
会計ソフトfreee・マネーフォワード・弥生など対応ソフトと自計化の可否
変動・追加売上増加時の改定ルール、調査立会いなどの追加費用

そのうえで、次の項目を自分の状況に当てはめて点検してみてください。

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領域チェック項目確認
料金の総額顧問料・決算料・記帳代行・年末調整を合算した年間総額が出ているか
料金の総額税抜/税込のどちらの表記かが明確か
含まれる範囲基本料金に含まれる業務と、オプション業務の区分が示されているか
含まれる範囲年末調整・各種届出・資金繰り相談などの追加単価がわかるか
対応・連絡面談・訪問の回数や、電話・チャット相談の範囲が決まっているか
対応・連絡問い合わせへのレスポンスの目安(何営業日以内か)が示されているか
会計ソフト使いたいクラウド会計(freee/MF/弥生)に対応しているか
会計ソフト自計化した場合に顧問料がどう変わるかを確認できるか
変動・追加年商や取引量が増えたときの料金改定ルールが明確か
変動・追加税務調査の立会いの有無と費用が示されているか
比較同じ依頼範囲で複数の事務所から相見積もりを取っているか
比較同業種の関与実績があるかを確認したか

税理士報酬は事務所ごとに個別に設定されるため、相見積もりが前提になります。 同じ条件で2〜3社を比べると、価格だけでなく対応の丁寧さや提案の質まで見えてきます。

参考:国税庁「税理士制度のQ&A(目次)」

参考:日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書」

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まとめ

税理士の費用は、毎月の顧問料という一点ではなく、記帳代行・決算申告・年末調整・相談対応まで含めた1年間の総額で比べることが大切です。相場はあくまで目安と捉え、自分の売上規模と依頼範囲に合わせて、同じ条件で複数の事務所から見積りを取りましょう。クラウド会計での自計化や依頼範囲の見極めを進めれば、費用は無理なく抑えられます。安さだけで選ばず、含まれる範囲とレスポンスの質まで確認する。そうすれば、損のない依頼先選びができるはずです。

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